鍵の掛かった男 / 有栖川有栖
有栖川有栖「鍵の掛かった男」を読みました!
715ページに及ぶ骨太ミステリーです。
読みながら、「この人が犯人かな?」「いや、こいつも怪しいぞ」などと、色々と考えながら読んでましたが、最後は、
「あれ?この人が犯人だったの?」「うわー!やられた!」
という結末。
有栖川有栖の策に嵌められてしまいました。
ホント、『作家VS読者』で考える中では、負けを感じました。
715ページは長かったので、こういう「負ける」結末で良かったです。
有栖川有栖さん、初めて読みました。
今まさに、ウィキペディアで調べてみると、作風に『エラリー・クイーンの影響が大きく、「読者への挑戦」が挿入されている』と書かれていました。
確かに「鍵の掛かった男」を読みながら、「エラリー・クイーンみたいだな」と感じてしまう程、作風が明らかです。
実はエラリー・クイーンが苦手なので、「鍵の掛かった男」は、何度か挫折しそうになりました。
この挫感は、ホント「Yの悲劇」に似ていて、そう思いました。
かつて「Yの悲劇」を読みながら、「こっちが悲劇だ!」と感じる程、私には合わない作風です。
個人的には、アガサ・クリスティのような「そんな馬鹿な!」という奇想天外な展開、東野圭吾のような「スッキリ!コンパクト!」を欲する人間には、ちょっと難度が高いものがありました。
とは言え、ホント、最後は読者として「負ける」結末で良かったです。
また、機会があったら、「読者への挑戦」へ挑んでみたいと思います。