スタート! / 中山七里

中山七里「スタート!」を読みました!

 

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大御所映画監督・大森のもとに集まるキャストとスタッフが、心を一つにして一本の映画を制作していく中で、様々なトラブルが起こります。

その中で主人公・映一が、翻弄し、一本の作品を手掛けて行くミステリー小説です。

 

私の中では、「ミステリー」という枠組みの中で考えると、少し面白味に欠けるところがありましたが、一本の小説としては面白い小説でした。

 

ストーリーの根幹は、「一本の映画を完成させていく」内容です。

その中でトラブルや殺人事件が起こるのですが、ストーリーは「映画の完成」へ向けて進んで行きます。

 

この「スタート!」の面白い所は、映画を作る中で、近年の「映画における表現の自由」や「商業的な内容の番組」などの批判が入っている所ですね。

スタート!」の中で大森監督が作る映画は、商業的な商品ではなく、個性際立つ芸術品で、それを作るスタッフは既に大森の世界観に引き込まれ、映画作りに励んで行きます。

一方で、テレビ慣れしているキャスト陣も、徐々に大森監督の芸術的な表現力を理解して行き、大森ワールドへ引き込まれていきます。

しかし、過度な表現に対する「アンチ派」が現れたり、芸術よりも『売れる』か『売れないか』を意識するプロデューサーが割り込んできたり、と、様々なトラブルが引き起こります。

そういう中で、一本の映画を作り出すのに、キャストとスタッフが一つになる物語です。

 

尖ったものを作り出すと「変わり者」と批判され、つまみ出される世の中。

そんなのおかしくないですか?

尖ったものを作りたい!」と思っている人ほど、尖ったヤツに集まって来るし、誰にも真似できないものが作れる!

そんなことがメッセージとして組み込まれているのが面白かったです。

 

ミステリー小説というよりかは、ここ最近の世の中への気持ちが分かる小説でした。